オーストラリアのRSPCAが行う動物福祉への取り組みとは?

オーストラリアのRSPCAが行う動物福祉への取り組みとは?

人口約2,660万人と言われるオーストラリアですが、ペットを飼育している世帯数は約690万にも及びます。
ペットが身近な存在であることから、オーストラリア国内ではRSPCAと呼ばれる動物保護団体がペットの福祉向上を目指してさまざまな活動に力を入れています。
この記事ではRSPCAが実際に行っている取り組みをご紹介していくので、他国のペット事情に興味がある方はぜひ参考にしてくださいね。

オーストラリアのRSPCAとは?

1981年、オーストラリアにて動物保護団体のRSPCAが創設されました。
正式名称はRoyal Society for the Prevention of Cruelty to Animalsで、日本語では「英国王立動物虐待防止協会」と訳されます。
RSPCAは1824年にイギリスで作られた施設ですが、オーストラリアでも視察や調査を行った上でイギリスのRSPCAとは独立した運営体制を保っています。
動物の幸福や福祉の向上を目的としており、オーストラリア国内で最も知名度の高い動物保護団体です。

RSPCAが動物福祉のために行っている取り組み

動物の福祉を守るために、RSPCAでは多方面からのアプローチを行っています。
ここでは、実際にどのような活動を行っているのかチェックしていきましょう。

  1. コールセンター

    虐待を受けている動物を救うために完備されているのが、年中無休のコールセンターです。
    虐待が疑われるペットを見かけた場合、一般市民はRSPCAのコールセンターへ通報できる仕組みになっています。
    虐待に関する通報数は、クイーンズランド州で年間1万8,000通以上、ニューサウスウェールズ州では約1万4,000通にも及びます。
    690万世帯がペットを飼育しているとされるオーストラリアにおいて、RSPCAだけで全てのペットの飼育状況をチェックすることは困難です。
    しかし、一般市民が気軽に連絡できるコールセンターを運営することにより、劣悪な飼育環境で暮らすペットの早急な発見に繋がっています。

  2. 検査官システム

    RSPCAに在籍する検査官は、警察官と同じ権限を持っている職員です。
    コールセンターに寄せられた情報を基にペットへの虐待が疑われる家庭を訪問し、ペットの飼育状態や家庭環境を確認した上で実際に虐待が行われているかを判断します。
    検査官は虐待が認められる場合にペットを保護する権限を持っており、保護されたペットはRSPCAに連れ帰られる仕組みです。

  3. 飼育

    保護されたペットたちは、新しい飼い主が決まるまでRSPCAの保護エリアで生活します。
    ペットの種類やサイズに応じた既定の広さのケージが完備されており、清掃や栄養面の管理なども徹底している点がポイントです。
    また、犬に関してはRSPCAのボランティアスタッフによる散歩も毎日のスケジュールに組み込まれ、保護されている期間中も快適かつ幸福に生活できるように工夫が凝らされています。

  4. ペットの治療及びケア

    RSPCAの施設内には、保護されているペット専用の動物病院が併設されています。
    虐待によるケガ、病気、ストレス、栄養失調などの問題を抱えているペットもいるため、必要に応じて治療やリハビリテーションを受けています。

  5. 保護されたペットへのトレーニング

    RSPCAで保護されているペットの中には、トレーニングが必要な個体も存在します。
    誤った飼育方法、躾、虐待によるトラウマなどにより、問題行動を繰り返すペットも少なくありません。
    RSPCAでは将来的にペットを新しい飼い主に引き渡すことをゴールとしているため、ペットが人間とスムーズに生活できるように問題行動改善のためのトレーニングを実施しています。
    尚、有資格者であるプロのトレーナーによって段階的に矯正が行われていくものの、時には数年単位でトレーニングが必要なペットもいます。
    RSPCAはペットが新しい飼い主に出会える可能性を高めるべく、ペットの種類、年齢、期間を問わずにトレーニングを続けている点がポイントです。

  6. 里親制度

    RSPCAではペットを保護するだけでなく、里親探しも行っています。
    里親希望者がペットたちを気軽に見学できるように設置されているのが、施設内にあるガラス張りのケージエリアです。
    また、オンラインでの募集や大規模な里親会も定期的に実施しており、全てのペットが新しい飼い主を見つけられるチャンスを常に提供しています。

  7. フォスターケア

    RSPCAでは、フォスターケアと呼ばれる里親介護者システムを導入しています。
    フォスターケアは一時的にペットを預かるボランティア家庭のことを指し、RSPCAにケージの空きがない場合やペットを人に慣らしたい場合に利用される仕組みです。
    フォスターケアは1~2週間程度の短期間のみ飼育するケースもあれば、数年間にわたって世話をし続けるケースも見られます。
    フォスターケアとのふれあいによって虐待による心の傷を癒せるペットも多く、新しい里親との信頼関係を築くための準備という点においても重要な役割を担っています。

まとめ

オーストラリアのRSPCAでは、ペットの幸福を実現するためにさまざまな取り組みを行っています。
虐待や不適切な飼育環境からの保護はもちろん、将来的に新しい飼い主を見つけるまでのサポートにも力を入れることで、1匹でも多くのペットが幸せに暮らせるように努めているのです。

執筆者:Mahogany_socks

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