アメリカの動物愛護事情 3

アメリカの動物愛護事情 3

犬と一緒に入院生活を送ることができるアメリカ!

犬と一緒に入院することができるなんて、日本では考えられないことですが、アメリカでは許されているんです。米国障がい者法(ADA: Americans with Disabilities Act)では「介助用動物は、病室をはじめ、病院内の一般の人々や患者が出入りできる場所であればどこでも許可されなければなりません。」と定められています。サービスドックとして人間に寄り添う犬たち、その存在に心身ともに支えられている人々にとっては、入院時にも側に居てもらうことで、心強い思いがすることでしょう。 ここでは、サービスドッグそしてセラピードッグとして飼い主のブライアン・ベンソンさんと共に過ごしているマグナスの物語を紹介します。


引用元:https://www.instagram.com/p/Cn9l9ouvnH6/

ブライアンとマグナスのものがたり

胸が痛くて呼吸が苦しかったブライアンさんは救急病院で見てもらったところ、心筋症であることがわかりました。30年強、ヴィジュアル・エフェクトの仕事をする中、ワークアウトを続け、健康的な食生活を送っていたブライアンさんですが、遺伝的な背景からこの心疾患を患っていることがわかり、3日間、様々な検査をするために急遽入院することになりました。

家族、特に二人の娘さん、そして多くの友人に溢れるばかりの愛で支えてもらったと語るブライアンさん、もちろんブライアンさんが息子と呼ぶペットのマグナスにも大きな感謝を表明しています。そう、このマグナスこと6歳のラブラトール・リトリバーは24時間365日ブライアンさんと一緒に居るサービスドックです。入院時も例外ではありませんでした。ブライアンさんはマグナスが「まさに、彼が得意とすることをやってくれた」と言っています。というのも、マグナスは、ブライアンさんをリラックスさせ、ふさぎ込んでいたブライアンさんのことを実は誰よりもわかっていたのです。「側に寄り添う時とそうではない時、おどけた態度を取るべき時と抱きしめる時をマグナスは十分分かっている」とブライアンさんは語っています。

ベッドに一緒に横になれる、検査時にも一緒に居れるなんて、心強いですよね。こうした環境が許されるなんて素敵です。サービスドックと一緒に入院生活を送ることを許容できるアメリカの病院の態勢を羨ましく思います。

飛行機のキャビンにも犬と一緒に乗れるアメリカ!

もう一つ、病院の他に、日本と違い、動物が堂々と許されている環境がアメリカにはあります。
それは、飛行機!「貨物扱い」ではなく、人間の座席であるキャビンに一緒にオンボードできるのです。


引用元:https://www.cheapflights.ca/news/wp-content/uploads/sites/148/2016/02/flying-with-pets-01.jpg

数年前になりますが、ワシントンDCからシアトルにに向かう便の中で、偶然犬と一緒に乗ってきた若い女性が私の座席の隣に座りました。キャリア―の中には、くりくりとした目が何とも愛らしいキャバリア犬がいました。犬と一緒にキャビンに乗車できるのを全く知らなかった私は、とても感激して、思わずその女の子に話しかけました。シアトルのお姉さん宅に遊びに行くのに愛犬も毎回連れて行っているとのこと。20ポンド(約9キロ)以下の犬や猫であれば、機内持ち込みの荷物(キャリー・オン・ラゲッジ)として搭乗者と一緒に客室に乗ることができることをその時初めて知りました。

日本ではあくまでも「貨物扱い」。ケージに入れ荷物カウンターで預かり荷物(チェック・イン・ラゲッジ)として処理されます。

ペットは家族でありパートナーであるという受け取り方が広く普及している、そして社会に浸透している点ではアメリカはどの国よりもドッグフレンドリーな環境が整っていると言えます。

ドッグフレンドリーな環境が町中に!

私が住むレストン(ワシントンDCから車で20分ほどのニュータウン)でも、犬と一緒にお散歩している人々を多く見かけます。また、町中のいたるところに、犬に配慮したドッグフレンドリーな計らいが見られます。例えば、レストランでは外のテラス席ではペットと一緒に食事ができるスペースとして、犬用のお水のトレイが設置されています。レストランを利用しなくても、散歩の途中に通りがかった時にお水を飲んでいる犬をよく見かけます。


レストランの入り口近くに備えられた犬用のお水のトレイからお水を飲んでいるダルメシアン

また、町のいたるところに犬のうんちを処理できるポストが設置されています。


マンションの前に設置されているペット用ごみ箱

道路沿いに設置されているペット用ごみ箱

PET WASTE(ペット用ごみ箱)として設定されているこの緑色のポストには、上段にビニール袋が備えてあり、下段にゴミ箱があります。レストン市が管理していおり、市の管轄で定期的に掃除されます。こうした環境が整っていることが一部背景としてあるのでしょう、朝の
お散歩時に出会う飼い主さんは特に、手ぶらの人が多いように思います。お散歩バッグで必需品を持ち歩く必要が無いということでしょう。

また、今年は2週間に一度レストン・タウン・センターの中心地にある多目的エリアがドッグ・パークになりました。このエリアは冬場はスケートリンクになるところで、コンサートが開催されたりすることもある場所です。普段は人工芝の広場で、所々にロッキングチェアが備えられています。子供たちが遊んだり、寝転がって話し込んでいる若者がいたり、各自思い思いに過ごせるオープンスペースです。

一時的にドッグパークとなったレストン・タウン・センターの広場

このドッグパークとなった広場の前には猫の保護団体のデスクがありました。

グレーター・ワシントンのネコ基金(FFGW:The Feline Foundation of Greater Washington)というバージニア州北部とワシントンDCのコミュニティで、ホームレスの猫や子猫の保護、世話、養子縁組に献身的に取り組んでいるボランティアのみの非営利団体です。

ドッグパーク入口付近に設置されたFFGWのデスク

このように保護犬や保護猫のシェルターや保護団体が多く存在し、各保護団体間で連携しつつ積極的に活動しています。

おわりに

アメリカでは、シェルターに保護されている犬や猫たちをペットとして迎えることが一般的で社会に浸透しています。ペットショップで商品として生体販売されている数十万円もする猫や犬を購入するという概念が一般的に普及していません。

また、犬が許容されている範囲も日本に比べて広く、寛容に受け入れられています。

日本でもここ数年で、ずいぶんドッグフレンドリーなレストランが出てきたと感じますが、今回紹介したようなアメリカでの取り組みが日本で理解・展開されるのは、現時点では難しいでしょう。

上述のFFGWのポスターにRESCUE・FOSTERING・ADOPTION(救済・里親・養子縁組)と大きく記載されていますね。このスピリットがより広がって、犬や猫といった動物たちにもよりよい社会が訪れるのが理想の世界です。

ペットを家族として迎えることで、私たちの人生はとても豊かになります。その場合、一匹の猫や犬を救うことができるかもしれません。

皆さまのペットとの暮らしが大いに祝福されますように願います。

執筆者:近松恵子

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