韓国で話題の動物福祉TNR活動とは

韓国で話題の動物福祉TNR活動とは

韓国の冬の気温は氷点下になることもあり、極寒の環境で凍死してしまう猫が後をたちません。しかし、何万頭もの猫を全て保護し飼育するのも難しい問題です。
そこで、韓国では野良猫たちの問題を解決するため、TNR活動が盛んに行われ推奨されるようになりました。
TNR活動とは野良猫を繁殖制限するために、(Trap/捕獲)して、(Neuter/不妊手術)を行い、(Return/元の場所へ戻す)活動です。
今回は韓国と日本で行われているTNR活動を紹介いたします。

韓国の野良猫事情とは

韓国のソウル市では近年、野良猫の急増が社会問題になっています。そんな野良猫たちを減らすために「キャットマム」「キャットダディ」と言われるボランティアの人たちが猫の給餌やTNR活動、病気の猫の治療を行っています。

行政による野良猫対策

ソウル市の野良猫は2013年3月の段階で25万頭とされていました。そんな野良猫の増加を問題視してソウル市は予算、七億五千ウォン(日本円で約8千万円)を投じて行政によるボランティアのTNR活動による対策が行われました。ボランティア活動により2017年には13万9千頭まで減少しました。

野良猫給食所

ソウル市内には野良猫給食所とよばれる給餌所が30カ所以上設置されています。野良猫がゴミ捨て場を荒らすことが地域住民の苦情になり、その対策として設置されました。

TNR活動の課題

TNR活動には手術費用の問題から浸透しにくいという課題があります。殺処分や外の厳しい環境で悲しい死を迎える野良猫を減らすために、何が出来るか考えてみましょう。

高額な手術費用と資金調達

避妊去勢手術にはオス猫が1万〜1万5000円、メス猫が2万〜3万円と高額な手術費用がかかります。また、猫の健康状態によっては追加の検査や治療費がかかるため、費用の負担が大きくなります。

自治体による補助金を用意している地域もあります。また、格安でTNR活動の支援を行っている動物病院もあります。
クラウドファンディングによる援助など間接的な形で、TNR活動に参加することも可能です。

日本でも広がるTNR活動

日本でも野良猫対策に効果的な方法としてTNR活動が盛んに行われるようになりました。不妊手術を行った猫を地域猫として見守る保護ボランティアさんも増えています。

地域猫さくらねこが増加しています

不妊手術が済んだ証として、オス猫は右の耳、メス猫は左の耳を、V字に切り取り目印にしています。麻酔が効いてる間に処置が行われるため、痛みは感じません。再び捕獲されて、おなかを開かれ手術されることがないよう、ひと目でわかる目印です。また、発情期による騒音の対策にも効果的です。
その愛らしい耳は、まるでさくらの花びらのようなので、さくらねこと呼ばれ日本でも浸透してきています。1代限りの命を全うできるように、TNRの手術後もトイレの設置や給餌を通して地域全体で見守っています。

まとめ

韓国で行われているTNR活動についてご紹介させて頂きました。悲しい人生を送る野良猫を1頭でも減らすために、少額からでも参加できる活動があります。猫たちの幸せのために、今できる小さなことから始めてみましょう。人と猫が共生できる社会をつくるためにTNR活動に積極的に取り組んでみましょう。

執筆者:増田綾乃

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