動物愛護と動物福祉の違いは?日本と海外の動物への考え方
動物愛護と動物福祉の違いは?日本と海外の動物への考え方
日本と海外では動物に対する考え方がちがうのはご存じでしょうか。今回は日本と海外の動物に対する考え方の違いを比べてみました。
動物愛護と動物福祉の考え方の違い
動物愛護と動物福祉には考え方の違いがあります。日本では動物愛護、海外では動物福祉の考え方が一般的です。どのように違うのか解説していきます。
動物愛護
動物愛護はヒューマン(人間)中心の考え方です。「かわいい」「かわいそう」などの個人の意思による考え方です。
日本では「動物愛護法」という法律があります。
「すべての人が『動物は命あるもの』であることを認識し、みだりに動物を虐待することのないようにするのみでなく、人間と動物がともに生きていける社会を目指し、動物の習性を知った上で適正に取り扱うように定めています」
また、動物愛護法の中でいちばん厳しいものだと、動物愛護法44条1項に違反して愛護動物をみだりに殺傷した場合には、5年以下の懲役または500万円以下の罰金に処せられるなどがあります。
動物福祉(アニマルウェルフェア)
動物福祉はアニマル(動物)中心の考え方です。
動物の立場を尊重しており、動物の習性にあわせて適切に飼育される権利があるという考え方です。動物福祉の対象は犬猫などのペットだけでなく、畜産動物(家畜)や、実験動物、野生動物にも適用されます。
国際的動物福祉の基本(5つの自由)
動物福祉には、国際的な基準として「5つの自由」という原則があります。英国で動物福祉の理念として提唱され、いまでは国際的に認められているものです。
その5つの原則をご紹介します。
「5つの自由」
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飢えと渇きからの自由
- その動物にとって、十分かつ適切な栄養が与えられている
- 衛生的な水をいつでも飲むことができる
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不快からの自由
- 雨風や炎天下を避けられる環境である
- 清潔で安全な場所でリラックスすることができる
- 温度、湿度がその動物にとって適切に管理されている
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痛み殺害、病気からの自由
- 負傷するような危険物がある場所ではない
- 病気を予防するために、健康管理や健康診断を行っている
- 病気やケガがあれば、十分な治療を受けることができる
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恐怖と抑圧からの自由
- 精神的苦痛や、過度なストレスになる不安や恐怖を与えていない
- ストレスがある場合は、原因を追求し的確な対応をとれている
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正常な行動を表現する自由
- 動物が本来の行動を表現するための十分なスペースがある
- その動物の習性に応じて、群れあるいは単独で飼育されている
まとめ
動物愛護と動物福祉の違いについてご紹介させていただきましたが、いかがでしたでしょうか。
似ているようで異なる考えの動物愛護と動物福祉ですが、どちらかが悪というわけではなく、共存していくことが可能です。同じく動物を思う気持ちは変わらないのです。
不幸になる動物を減らすために、私たちひとりひとりができることを考えていきましょう。
執筆者:増田綾乃


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