「ベトナムの街角で生きる犬たち」— 人と動物が自然に共存するやさしい日常

ベトナムを歩くと、そこかしこに犬たちの姿があります。カフェの前、屋台のそば、アパートの階段下。 首輪もリードもないのに、どの子も穏やかな表情で、街の風に身を委ねています。そんな彼らを見ていると、この国の「人と動物の関係」がゆるやかに浮かび上がってきます。
この記事では、ベトナムの街角で暮らす犬たちを通して、“共に生きる”ということを見つめてみましょう。

ベトナムの犬たちの暮らし

都市の通りでは、放し飼いのように自由に歩く犬たちをよく見かけます。彼らは“野良犬”でも“飼い犬”でもない、そのあいだに生きる存在です。
暑い昼には木陰でひと休みし、夕方には屋台の前でおこぼれを待つ。まるで街そのものが彼らの家であるかのようです。
危険もあるけれど、犬たちは自分の居場所を見つけ、上手に暮らしています。

「共存」という文化

ベトナムでは、犬は「管理されるペット」というより、「共に暮らす仲間」として受け入れられています。
お店の前で寝ていても誰も追い払わず、子どもたちは通りすがりに優しく頭を撫でていく。
人も犬も、互いの存在を認めながら、ちょうどいい距離感で生きているのです。 街には、そんな“ゆるやかな共存”の空気が流れています。

地域の人々のやさしいまなざし

あるカフェの店主は、毎朝水を入れたボウルを店先に置きます。
「この子はね、毎日ここに来るの」と微笑むその顔には、静かな優しさがありました。
大げさな保護活動ではなく、日常の中にある思いやりが、犬たちの命を支えています。 それこそが、ベトナムならではの温かさです。

日本との違い

日本では、リードや屋内飼育が当然で、安全と衛生の意識が高い一方でベトナムでは、「地域全体で見守る」という考え方が根づいています。
どちらが正しいという話ではなく、それぞれの土地が生み出した“命との向き合い方”です。
街角で生きる犬たちの姿は、「自由」と「共存」の絶妙なバランスそのもの。
完全な保護も、完全な自由もないけれど、人と犬が互いを信じて生きるこの風景が、「共に生きる」とは何かを、静かに語りかけてくれます。

執筆者：Meizz0123