世界で一番「幸せな豚」が暮らしている国はどこ?動物福祉先進国をのぞいてみた

「幸せな国ランキング」はあるけれど、「幸せな豚ランキング」は?

毎年発表される「世界幸福度ランキング」。
フィンランドやデンマークなど、北欧の国々が上位に並ぶことで知られています。

では、こんなランキングがあったらどうでしょう。
世界で一番幸せな豚ランキング

もちろん、豚にアンケートを取ることはできません。
そんな公式ランキングも存在しません。

しかし、世界には「豚や牛、ニワトリができるだけ快適に暮らせるようにしよう」と、本気で取り組んでいる国があります。

今日は、そんな”動物福祉先進国”を旅してみましょう。

スウェーデン「しっぽを切らない」のが当たり前

最初に紹介したいのは、スウェーデンです。
豚のしっぽを見る機会はほとんどありませんが、実は世界では、生後間もない子豚のしっぽを短く切ることがあります。

理由は、豚同士がしっぽを噛んでしまうことがあるからです。
ところがスウェーデンでは、「噛む原因を減らそう」という考え方が主流です。

豚が退屈しないように藁を入れたり、十分なスペースを確保したり、ストレスを減らす環境づくりを重視しています。
つまり、「問題が起きる前に環境を改善する」という発想なのです。

スイス「動物にも退屈する権利がある?」

スイスは、世界でも動物福祉への意識が高い国として知られています。
牛にはブラシを設置して体をこすれるようにしたり、放牧できる期間を確保したりする農場が数多くあります。

実際に牛は、自分からブラシへ向かい、何分も体をこすり続けることがあります。
気持ちがいいだけではありません。
体を清潔に保ち、ストレスを軽減する効果も期待されています。

牛にブラシ?
最初は驚くかもしれませんが、牛にとっては私たちがお風呂に入るような時間なのかもしれません。

オランダ「ニワトリの遊び場」がある

オランダでは、養鶏場の環境づくりにも工夫が見られます。

止まり木。
砂浴びができるスペース。
藁。
つついて遊べる資材。

人から見ると何気ないものですが、鶏にとっては重要な遊び道具です。
退屈すると、仲間の羽をつついてしまうことがあります。
だからこそ、「退屈させないこと」がケンカやストレスの予防にもつながるのです。

近年は、こうした環境を整えることを「環境エンリッチメント」と呼び、多くの国で取り入れられています。

デンマーク「世界有数の養豚国」が目指すもの

デンマークは世界でも有数の養豚国です。
大量に豚を育てながらも、動物福祉の向上に取り組んでいます。

例えば、豚が藁を掘ったり、においを嗅いだりできる環境づくり。
健康状態を細かくチェックする仕組み。
病気を防ぐための衛生管理。

たくさん育てる」と「動物福祉」は対立するものだと思われがちですが、両立を目指す研究や技術開発が続けられています。

では、日本はどうだろう?

日本は欧州ほど厳しい法規制はありません。
しかし、近年は平飼い養鶏や放牧酪農、豚舎の環境改善などに取り組む農場が増えてきました。
また、企業や消費者の関心も少しずつ高まっています。

一方で、日本には日本ならではの課題があります。

土地が狭いこと。
高齢化による人手不足。
物価高による生産コストの上昇。
海外の仕組みをそのまま取り入れることは簡単ではありません。

だからこそ、日本の環境に合った動物福祉を考える必要があります。

「幸せ」は数字では測れない

結局、一番幸せな豚がいる国はどこなのでしょう。
答えは簡単ではありません。
法律が進んでいても、すべての農場が同じではありません。

逆に、法律が少なくても、動物を大切に育てている生産者は世界中にいます。
動物福祉は、「この国だから安心」と「この国だからダメ」と言い切れるものではないのです。

私たちが見るべきなのは「国」ではなく「育て方」

海外の取り組みを知ることは、とても大切です。
でも、本当に大事なのはランキングではありません。

その動物がどんな環境で育ち、どんな配慮を受けてきたのか。
生産者がどんな思いで育てているのか。
それを知ろうとすることです。

スーパーで産地を見るように、「どんな育て方をしたのか」にも少し目を向けてみる。
それだけで、食卓は少し違って見えてくるかもしれません。
世界一幸せな豚を決めることはできません。

でも、世界中で「もっと幸せに暮らせる家畜を増やそう」と努力している人たちがいることは、確かな事実です。
そして、その未来を少しだけ後押しできるのは、毎日の買い物をする私たちなのかもしれません。

執筆者:ここ

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