【1回700万円】高額なのに受注が増え続けるペットのクローン技術

【1回700万円】高額なのに受注が増え続けるペットのクローン技術

2024年7月ごろ、日本では中国の、とあるビジネスに関するニュースが話題になりました。「死んだペットに「再会」できる」ペットのクローンビジネスです。クローン技術は世界で進んでいて、絶滅危惧種の保護や家畜などの生産性の向上にすでに役立てられています。

2022年には希少野生動物であるホッキョクオオカミのクローンを犬の代理母から誕生させることに成功しました。
そして、クローン技術は野生動物や家畜のみならず犬などのペットにも活用され始めいています。

今回はアメリカのテキサス州シーダーパークに拠点を置くViaGen Petsを参考に、ペットのクローンに関してご紹介いたします。

クローンペットとは

クローンペットとは、クローン技術によって作られた、遺伝子構成が同一のペットのことです。海外では、亡くなった愛犬に再び会いたいという思いから、クローンペットを望む飼い主もいます。

クローン作成の技術には様々ありますが、多くの場合はクローン化したい動物の細胞核を、遺伝物質を取り除いたドナーの卵子に注入します。

その後、代理母の子宮に遺伝子情報を移植し、子犬や子猫が生まれるのです。

ViaGen Pets

テキサス州シーダーパークに拠点を置くViaGen Petsは、ペットの飼い主に動物のクローン作成サービスを提供するTransOva Geneticsの一部門です。ViaGen Pets部門は2016年に設立されました。
ViaGen Petsはクローニングサービスのほか、組織バンキングや細胞バンキングとも呼ばれるDNA保存サービスも提供しています。

高額なのに高まるクローン技術の需要

ViaGen Petsはアメリカで唯一の犬と猫の商業クローンを提供する会社で、同社によると「現在、毎年ますます多くのペットのクローンを作成しており、2015年に事業を開始して以来「数百匹」のクローンを作成している」といいます。

同社は犬のクローン作成に5万ドル(約730万円)、猫なら3万ドル(438万円)を請求していますが、高額であるにもかかわらず需要は高まっているようです。

クローンペットに対する反対意見

クローンペットに対しては反対意見も多くあり、特に米国動物福祉団体はこの分野について大きな懸念を抱いています。

卵子提供のために卵子を摘出される雌動物や、代理妊娠を予定している雌動物にとって、これは苦痛でつらいことだ」(ペニー・ホーキンス氏/英国王立動物虐待防止協会)

この他、多くの科学的研究でクローン動物は病気にかかりやすいことや、クローンペット作成の失敗率が高いことも示唆されています。

ニューヨークのコロンビア大学による2018年の報告書では、平均成功率はわずか20%とされていて、健康で元気に生まれていないクローンがたくさんいたり、成功のために複数回の試みを可能にするには、多数の代理母が必要になるということが倫理観として問題視されています。

一方で、現在の技術ではクローン動物の寿命は普通の動物と変わらず、子孫の繁殖能力も正常だと言われています。
中国では、北京の警察が学習能力や記憶力、攻撃能力が高いクローンの警察犬を導入するなど、ペットブームに乗ってクローンペットビジネスが急成長しています。

実際にクローンを依頼した人の意見

ニューヨーク市警察の元警察官であるジョン・メンドラさんは「愛犬のプリンセスが末期癌だと診断されたとき、クローンを作ることを決意した。」といいます。

メンドラさんは癌にかかっていることを告げられてすぐViaGen Petsに連絡し、プリンセスが亡くなる前に組織サンプルを採取しておき、その遺伝物質から、1年後に代理母犬から2匹のクローンが生まれました。

その2匹は遺伝的にプリンセスと同一であり、メンドラさんは2匹にアリエル姫とジャスミン姫という名前をつけました。

メンドラさんは、「生まれた2匹は斑点、毛、すべてがほぼ同じで、しぐさまでもが似ています」と話していました。

プリンセスが亡くなる前に、彼はベベという名の別の保護犬を飼っていましたが、
新しい子犬を家に連れて帰ったとき、ベベはすぐに子犬たちに懐きました
べべはプリンセスを恋しく思っていました。べべにとって仔犬たちはプリンセスなのです。

と、語っていました。

まとめ

今回は米国や中国で急成長を遂げているペットのクローン技術についてご紹介しました。

絶滅危惧種の保存や家畜への活用で賞賛される一方で、ペットのクローンには反対意見が多く存在します。
新しい命を作るのではなく、今いる保護犬を迎えるべきだ」という人もいます。

しかしその一方で、高額でも依頼をする人が増えており、メンドラさんのように愛するペットを失った悲しみから、クローン技術によって新たな幸せを得ることができた人もいることから、今後、ペットのクローン技術にはさらに注目が集まってくると考えられます。

執筆者:深田龍誠

参考記事

関連記事

  1. この記事へのコメントはありません。