カナダのゆったり保護犬施設
カナダのゆったり保護犬施設
カナダのほとんどの州では、法律によりペットショップで犬を売ることが禁じられています。
加えて、動物福祉の考えが進んでいるため、犬を迎えるなら保護施設から、と考える人がとても多いです。
各自治体には公立の保護犬施設があります。
著者の住んでいるニューウェストミンスター市(バンクーバーの隣の市)にも施設があり、比較的新しくキレイな建物です。
ここで保護犬たちはどのように過ごしているか、調べてみました。
施設でのボランティア
犬を飼えないけど、保護犬のためにお散歩などのボランティアをしたい!と思う人はとても多く、平日の夕方や週末はいっぱいで空きがありません。
現在は平日の午前中のみ募集中。
この募集要項をみてみましょう。
19歳以上で、無犯罪証明書の提出、2人の推薦者が必要で、最低6ヶ月(週に1回3時間以上)できて、説明会とトレーニングに参加できる人、となっています。
ボランティアに推薦してくれる人を頼まなければいけませんし、簡単な気持ちではできません。
犬の部屋
犬が暮らすのは犬舎というよりも、部屋です。
一匹につき、18平方メートル位の部屋にトランポリンベッドが置いてあり、鎖もなく自由に動けます。
庭にはフェンスがあって、道路側からは庭の中が見えません。
地面は芝生になっていて、おもちゃもトランポリンベッドもあり、他の犬と遊んだりできるようになっています。
この庭には仕切り(金網フェンス)もあるので、他の犬と離したほうがいい場合でも大丈夫です。
お散歩
1日に1回は、ボランティアの方が外に散歩に連れていってくれます。
部屋は狭くありませんが、壁に囲まれていて窓がなく外が見えないので、みんなこのお散歩をとても楽しみにしています。
他にも週に1回、プロのドッグウォーカーの方がボランティアに来て、お散歩に一緒に行ったり庭で遊んでくれます。
この方は、お散歩に行く前、自分の部屋から出るとき、うれしくて興奮し過ぎてしまうワンちゃんを一旦、落ち着かせてから部屋を出す、という躾を見事に成功させていました。
保護犬の探し方
保護犬の中から自分が迎えたい子を探すには、ペットファインダーという、カナダ全域の保護犬が登録されているデータベースを使います。
ニューウェストミンスター市の施設にいる3匹の犬も、このサイトから見れます。
犬の性格や健康状態、他の犬や猫との相性、小さな子供のいる家庭に適しているか、犬の育ってきた環境、理想の飼い主像などが詳しく記載されています。
通常、施設にいる犬たちは避妊・去勢手術も済んでいて、必要な予防接種も全て終えています。
ちなみに引き取りにかかる費用は350カナダドル(37000円くらい)と税金です。
この他に、施設のフェイスブックページやインスタグラムには、個々の犬の写真やビデオ、日々のストーリーがあげられています。
この写真やビデオを撮影してくれるのもボランティアの方です。
写真がよく撮れていると、実際に問い合わせしてみようと思う方も多くなるので、これは重要です。
引き取り手の少ない大型犬
小型犬や中型犬は人気があり、わりとすぐに新しい飼い主が見つかるのですが、大型犬は時間がかかってしまいます。
この施設に現在いる3匹もシベリアンハスキー、カネコルソ、ゴールデンレトリバーとマスティフのミックス犬と全てが大型犬です。
このうちカネコルソは子犬のときに施設に来てから、一旦はある家族の元に引き取られていきました。
ですが、主に世話をしていた方がフルタイムの仕事に戻ることになり、彼の世話をすることが難しくなって、1年後にまたこの施設に戻ってきてしまったのです。
ゴールデンレトリバーのミックス犬も、生まれて数ヶ月の頃から施設で育ち、もうすぐ2歳になります。
大型で運動量の多い元気な犬は、広い庭付きの家を所有している人でないと犬のニーズに合わないので、飼える人が限られてしまします。
バンクーバー市やその周辺は住宅価格の高騰がひどく、一軒家の価格は2億円以上します。
それに加え、犬の相手をする時間がある人、となると見つけるのは困難なのです。
まとめ
保護犬施設というと、犬が狭い犬舎や檻で過ごしている姿を想像するかもしれませんが、このニューウェストミンスター市の施設は新しい建物ということもあり、広々としています(他の近くの市の施設も調べてみましたが、この半分くらいの広さで、もっと収容されている犬が多くてごちゃごちゃしてる感じでした)。
いつも時間を共有してくれる、暖かい家族が見つかるのが一番なのはもちろんです!
が、毎日お散歩に連れていってもらって、お庭で遊ぶこともでき、ボランティアの方に愛情いっぱいに接してもらっているのを見ると、ここで過ごすのも悪くない感じがします。
どこの保護犬施設も、動物福祉の精神を体現しているこの施設のように、広々としたキレイなお部屋や庭で犬が思い切り遊べて、ストレスの少ない環境になればいいなと切に思います。
執筆者:toramaru
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