ドイツの動物保護施設

ドイツの動物保護施設


今回はドイツのバイエルン州、Garmisch-Partenkirchenにある動物保護施設にお邪魔させて頂いた。州都ミュンヘンから車で約1時間の場所に位置している。


入口では早速1匹の猫が迎えてくれた。


施設の入り口。後ろには2000m級のアルプスの山がそびえ立っている。
Eingang=入口
Tierheim=動物保護施設。※Tierは動物、heimは家という意味。
ドイツのバイエルン州では、80の動物保護施設があり、約1200人が従事している。

現在いる動物の数

この施設にいる動物は、現時点で下記の通りである。

猫 80匹
犬 13頭
ウサギやモルモット 40匹
鳥 100匹
魚 200匹
馬(ポニー) 3頭

また他に亀、蛇などもいる。
上記の動物が入れ替わりながら、この施設では年間を通して1200匹の動物がいるそうだ。

施設について

施設全体の大きさは、10,000㎡。野球場1個分くらいだ。そのうち、建物の面積は、6000㎡。

猫部屋の広さ

8㎡、12㎡、20㎡の部屋があり、大きさ、年齢によって分けられている。


ひとつの部屋に3-4匹が生活している。


生後3か月の猫が親子で生活している部屋。


青いドアがずらっと並ぶこの棟は、全て猫部屋だ。


こちらは野良猫が人に懐くまでに保護されている場所。人が近づくと隠れたり逃げたりする。


中は温かそうで、そして十分広い。

犬部屋の広さ

20㎡、35㎡の部屋があり、猫と同様に大きさにより分けられている。

現在は13頭の犬が保護されている。


この4頭については、ウクライナでの戦争から保護された動物。


この棟は全て犬部屋だ。近づくと、部屋の中からでも吠えられた。


こちらはラウンドリールーム。大家族の家のようだ。


こちらはキッチン。3匹の年老いた猫がこのキッチンで気ままに暮らしている。


トイレのドアにはかわいい猫マークが!


鳥も割と大き目な部屋で自由に暮らしている。


このオウムは喋ってくれた!



ポニーたちも、ここで仲良く暮らしている。


うさぎ、モルモットも居心地が良さそうだ。


亀がいる水槽。
また、この施設では、壁に書かれた温かみのある絵が印象的だった。


それぞれの林檎には、寄付した人の名前が書かれてある。


ここではコウノトリも猫を運ぶのだ。


ここの動物は、みんな仲良く穏やかに生活している様子が伝わる絵。

動物たちはなぜここに来たのか

多頭飼いによる崩壊

多頭飼いにより、増えすぎて飼育できずに放置された等の理由。

飼い主の事情

引っ越しや入院、老いにより、これ以上お世話できなくなった等の理由がある。また、飼い主の他界の場合もある。

野生動物の保護

野良猫が保護されて、ここに来た。

従業員数

10人。うち8人はフルタイムで働いている。
また従業員の他に、犬の散歩に行ってくれたり、猫と遊んだりしてくれるボランティアが常時100人ほどいる。ボランティアの中には、ここで定期的に開催されている古市場にケーキを焼いて持参したり、野良猫を捕まえたりする人もいる。

コスト

年間約1200匹の動物がいる施設にかかる金額は、約600,000ユーロ。(2023年8月現在で約95,321,760円) 。それには動物の食費の他、動物にかかる医療費、施設にかかる光熱費、従業員の給料、また施設が所有する車の保険料等も含まれている。
更に、そのうち医療費が100,000ユーロ(約15,886,960円)を占めるそうだ。

資金集め

施設は、訪問者からの寄付や、後述する古市場やコンサートの売り上げ、政府からの補助を受けて成り立っている。
政府からの補助については、市の人口1人当たり1ユーロが、施設に支払われるそうで、例えば18000人の市だと、政府からの補助は月間で18000ユーロだ。
更に、3年前には政府から施設の建設費(改築・増築)として、100,000ユーロ(15,886,960)の補助があった。

動物たちの監視

従業員が24時間待機しているわけではないが、24時以降は警察が施設の鍵を持っていて、緊急の場合には警察が立ち入る。

サービス

ペットホテル

ここでは、一時的な旅行や入院等の理由で利用できるペットホテルのサービスも行っている。料金は一泊あたり下記の通りだ。

大きな犬 18ユーロ(2,900円)
小さな犬 15ユーロ(2,400円)
猫 10ユーロ(1,600円)

古市場の開催


2か月に1度、古市場が開催される。後方に飾られてある骨董品や美術品などの売り上げはこの施設の動物にかかる費用に回される。

コンサートの開催

不定期に行われるコンサートでの売り上げも、動物への資金だ。

学校から子供たちの訪問

社会見学として訪れる子供たちに施設を紹介することもしている。

殺処分について

日本とは違い、数が多すぎるからという理由で殺処分されることは決してない。しかしながら、とても重い病気で痛みが激しい場合や、他の動物を食べたり危害を加えたり動物に対しては、殺処分が行われる場合もあるそうだ。


今回お話を伺い、施設を案内してくれた施設長のTessy Lödermannさん。(左)

動物たちが安心して暮らせているが、動物たちのためにも、施設のためにも、温かい家庭に引き取られることも祈って施設を後にした。

今回お邪魔した動物保護施設について

https://tierheim-garmisch.de/
https://www.instagram.com/tierheim_gap/

執筆者:Yuko

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