ニワトリにも「退屈」がある?世界の養鶏場で始まっている意外な工夫
目次
ニワトリは何をして遊ぶと思いますか?
もし突然こんな質問をされたら、どう答えるでしょう。
「遊ぶ?」
「ニワトリって遊ぶの?」
そう思った人も多いかもしれません。
犬がおもちゃで遊ぶ。
猫がじゃらしを追いかける。
それは想像できます。
では、ニワトリは?
実は近年の研究で、ニワトリは私たちが思っている以上に好奇心が強く、退屈を感じる動物であることが分かってきました。
そのため、世界の養鶏場では、ニワトリのためのおもちゃを置く取り組みが広がっています。
おもちゃの正体は意外とシンプル
「ニワトリ専用のおもちゃ」と聞くと、ペットショップに並ぶようなカラフルなおもちゃを想像するかもしれません。
しかし、実際はもっと素朴です。
例えば、
- 吊るしたロープ
- 藁の束
- 木の枝
- 木片
- つついて動くボール
- 干し草の塊
こうしたものが鶏舎の中に置かれています。
ニワトリは夢中になってつついたり、引っ張ったり、歩き回ったりします。
まるで子どもが公園で遊ぶように、時間をかけて興味を示すのです。
なぜ、おもちゃが必要なの?
答えは、とても人間らしい理由です。
退屈だから。
野生のニワトリは、一日の多くの時間を地面をつつきながらエサを探して過ごします。
- 虫を探し
- 草をつつき
- 砂浴びをして
- 高い場所へ飛び乗ります
つまり、一日中かなり忙しい生活を送っています。
ところが飼育環境によっては、エサは目の前。危険もありません。
すると、本来使うはずだった時間が余ってしまいます。
その結果、仲間の羽をつついたり、攻撃的になったりすることがあります。
そこで考えられたのが、「退屈する時間を減らそう」という発想でした。
遊ぶことは健康にもつながる
人間でも、運動不足になるとストレスがたまりやすくなります。
これは動物も同じです。
環境を豊かにする取り組みは、「環境エンリッチメント」と呼ばれています。
難しい言葉ですが、意味はシンプルです。
動物が本来の行動をできる環境をつくること。
例えばニワトリなら、
- 砂浴びをする
- 羽を広げる
- 高い場所に止まる
- 歩き回る
- 地面をつつく
そんな「当たり前」をできるようにすることです。
研究では、こうした環境を整えることでストレス行動が減り、健康状態が改善する例も報告されています。
牛にはブラシ、豚には藁
実は、おもちゃがあるのはニワトリだけではありません。
牛の牧場には、大きな回転ブラシが設置されていることがあります。
牛は自分から近づき、体をゴシゴシとこすります。
ブラシで体をこすることで、かゆみを和らげたり、体を清潔に保ったりできるだけでなく、リラックスにもつながると考えられています。
一方、豚舎には藁や木片、ロープなどが置かれることがあります。
豚は鼻で物を押したり、掘ったりする習性があります。
その行動を満たせる環境をつくることで、ストレスを軽減しようという取り組みです。
「遊び」はぜいたくではなく、健康管理の一つとして考えられているのです。
「かわいそう」ではなく「動物らしく」
ここで誤解してはいけないことがあります。
動物福祉は、「人間と同じ生活をさせよう」という考え方ではありません。
ニワトリにはニワトリらしい暮らしがあります。
牛には牛らしい行動があります。
豚には豚らしい好奇心があります。
その動物が本来持っている習性をできるだけ尊重しよう。
それが動物福祉の考え方です。
だから、おもちゃを置くことも、「かわいそうだから」ではありません。
その動物らしく暮らせる環境をつくるためなのです。
私たちは意外と知らない
犬や猫については、多くの人が詳しく知っています。
散歩が必要。
遊ぶ時間が必要。
ストレスをためないことが大切。
では、ニワトリは?
牛は?
豚は?
意外なことに、私たちは毎日食べている動物のことをほとんど知りません。
どんな性格なのか。
どんな遊びが好きなのか。
何をするとストレスを感じるのか。
知らないまま食卓に並んでいることも少なくありません。
「いただきます」は、少しだけ想像すること
もちろん、誰もが平飼い卵や放牧のお肉を選べるわけではありません。
価格や住んでいる地域によって、選択肢はさまざまです。
だから、この記事で伝えたいのは「これを買いましょう」ということではありません。
今日食べる卵は、どんなニワトリが産んだのだろう。
この牛乳を出してくれた牛は、どんな毎日を過ごしているのだろう。
そんなふうに、一度だけ想像してみることです。
食卓に並ぶ卵や牛乳、お肉は、工場で作られた製品ではありません。
生き物がいて、それを育てる人がいて、私たちのもとへ届いています。
もしスーパーで「平飼い」や「アニマルウェルフェア」という表示を見かけたら、少しだけ足を止めてみてください。
その一瞬の興味が、動物たちの未来や、持続可能な畜産を考える第一歩になるかもしれません。
執筆者:ここ


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