カナダは世界一?の保護犬大国

カナダは世界一?の保護犬大国

著者はカナダのバンクーバーに住んで15年以上になります。
最近、犬を飼いたいと思っていて、気になる犬に出くわすと、飼い主の方にどこのブリーダーから購入したのかを聞くことにしています。
そうすると半数から、「うちの子は海外からの保護犬なの」という答えが返ってきました。
それも韓国、メキシコ、アメリカ、インドと多国籍です。
カナダは多くの難民、移民を受け入れていて、多文化・他民族国家ですが、犬社会においてもそうなのでしょうか??

ペットに関するカナダの統計

Statistaの調査によると、カナダの77%の家庭では、最低1つのペットを飼っているそうです。
その内23%が猫を、20%が犬を、13%が猫と犬の両方を飼っています。
2022年に登録されている犬の数は790万匹でした。
カナダの人口が2022年の統計で3900万人ですので、単純計算すると、カナダ人の5人に1人が犬を飼っていることになります。

カナダでの犬の迎え方

日本で犬を購入するときはペットショップが一般的ですが、カナダの多くの州では、法律によりペットショップで犬を売ることが禁じられています。
これは商業目的で犬を繁殖することになると、子犬製造工場(パピーミル)と呼ばれる施設に代表されるように、劣悪な環境で飼育されることが多く、規則で定められた飼育の基準に満たないからです。
ですので、最も一般的な方法はブリーダーから購入するということになり、35%の人が利用しています。
次は保護センターで13%、10%がペットショップからとなっています。

世界中の保護犬がカナダへ

公的な保護犬センターは各市や町にありますが、これに加えて個人が設立した保護犬センターもあります。
バンクーバー市の人口68万人に対して、公私合わせた保護犬センターは8団体です。

このカナダの団体は、海外の保護センターや団体と提携して遠くはギリシャ、中東諸国、インドなどまさに世界中から、望まれない犬をカナダに送ってきました。
ですが、2022年に法律が変わって、狂犬病のリスクがある113カ国から保護犬を連れてくることが禁じられます。
それまではイランやタイ、インドは、主要な保護犬の供給国の一部でしたが、この3国は禁輸の対象国となってしまいました。
現在の主な保護犬輸出国は、アメリカ、メキシコ、韓国、台湾などです。

保護犬の譲渡手順

まずは、保護犬団体のデータベースから犬を選びます。
写真、出身国、犬種、年齢、大きさ、性別、性格、健康状態、他の動物や子供とうまくやれるか、などの条件が記載されています。
迎えたい子を決めたら、申込書をオンラインで送ります。

ここで注意したいのが、保護犬たちはたくさんの希望者から申し込みを受けるので、自分が選ばれる確率は高くないということです。 申込者の情報だけではなく、家族構成、他に飼育しているペットの情報、犬を飼育した経歴、犬1匹で留守番する1日の時間、犬への体罰について、犬の躾の仕方などたくさんの質問に答えなければいけません。

こちらの情報を元に審査されるので、何を書くかは重要です。
そしてめでたく審査に通れば、600〜800カナダドル(6万円から9万円くらい)の費用を払って(カナダ への輸送費含)、犬が海外から到着するのを待ちます。

なぜカナダの公的保護センターで海外の保護犬を斡旋するのか?

これは、単純に地元のカナダでは、保護犬の数が少ないからです。
里親になりたい人が多いので、需要過多で供給が追いついていないんですね。

先にも述べましたように、カナダでは基本的にペットショップで犬の購入ができません。
ブリーダーで購入するのがもっとも一般的ですが、人気の犬種やブリーダーは希望者が多過ぎて、予約待ちのリストさえ締め切っていることも多くあります。
「犬を欲しい」と思っても、購入するのは、そんなに簡単ではないのです。

また、カナダでは動物福祉の考えが一般的に普及していることもあり、せっかく犬を飼うのなら恵まれない犬を救ってあげよう!という人も多くいます。

まとめ


このように世界中から保護犬を受け入れているカナダですが、獣医師や公衆衛生の専門家からは、出自の知れない犬を連れてくるのは、国内の犬に病気を拡げることになるのでは、と懸念されています。
実際に、狂犬病への危惧のため、2022年の9月にそのリスクがある113国から犬の輸入が禁止されました。
他にも、カナダ国内で殺処分される犬もいるので、海外の保護犬よりも国内の保護犬を優先すべきという声があるのも事実です。

カナダ獣医師協会の調査によると、2013年から2019年にかけて毎年9,000匹から17,500匹の犬が輸入されました。
これには、海外からカナダへ引越しした人が、自分のペットである犬を連れてきた数も入りますが、大部分は、保護犬としてカナダの里親のところへ連れてこられた犬だと考えられます。

犬の出自が国内、国外の違いはあれ、犬の殺処分が減らせて、なおかつ里親になりたい人の希望も叶うのであれば、この海外犬里親制度は存続する意味があるのではないでしょうか。

執筆者:toramaru

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