信仰の中のいのち ベトナムの神話に見る「動物への敬意」と福祉意識

信仰の中のいのち ベトナムの神話に見る「動物への敬意」と福祉意識

ベトナムの文化を語るとき、そこにはいつも「信仰」と「自然」が寄り添っています。
そして、その中には静かに“動物への敬意”が息づいているのです。 この記事では、神話や寺院、そして人々の祈りを通して見えてくる「いのちを敬う心」をたどってみましょう。

神話に生きる動物たち

古くから伝わる神話や伝説の中で、動物たちは「守り神」や「導き手」として登場します。
たとえば、「龍(ロン)」はベトナム民族の象徴。国名「ベトナム(Việt Nam)」の起源ともされる「Lạc Long Quân(龍君)」は、海の龍の子孫であり、人々の祖とされています。
また、水牛は豊穣の象徴として、人とともに田を耕し、“神聖な存在”として尊ばれてきました。

寺に集ういのち

お寺の境内には、今も多くの犬や猫が静かに暮らしています。
僧侶たちは毎朝エサを配り、動物たちはその姿を知っているかのように集まってきます。
それは“飼う”でも“所有する”でもなく、ただ「いのちを分け合う」行為。
動物もまた、輪廻の中に生きる存在」—そんな考えが、仏教をはじめとする信仰の根底に流れています。

現代に受け継がれる“敬意”

ペット産業が広がる現代でも、この「敬意」の心は静かに生き続けています。
保護活動やTNR、動物福祉の取り組みの中にも、“信仰に通じるやさしさ”が感じられます。
ある僧侶はこう語りました。「生きとし生けるものすべてに仏性がある。だから、救うことよりも寄り添うことが大切だ。
その言葉には、“助ける”よりも“敬う”ことから始まる命へのまなざしが宿っています。

すべてのいのちは、つながっている

ベトナムの神話や信仰の中では、人と動物が対等な存在として描かれることが少なくありません。
そこには、「すべてのいのちはつながっている」というやさしい真理が息づいています。
それはきっと、古くからこの国が大切にしてきた – “生きることそのものへの感謝”なのです。

執筆者:Meizz0123

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