アメリカの動物愛護事情 2
アメリカの動物愛護事情 2
動物虐待を取り締まる「動物保護警察」が存在するアメリカ!
「動物保護警察」(Animal Protection Police)という職業がアメリカには存在します。
その名の通り、動物を保護し、管理する警察官なのですが、具体的には以下のような職務を行います。
- 迷子の動物を捕獲する。
- 病気やケガをした野生動物や家畜を救助する。
- 動物に噛まれたなどの事件を調査する。
- 動物虐待の疑いがある事件を評価・調査する。
警察官として、制服による召喚状を発行し、野生動物法や関連する法執行をし、逮捕をする権限も持っています。
「動物虐待罪」を取り締まるのが「動物保護警察官」の重要な任務の一つでもあります。
保護された犬や猫は地域のシェルターや保護センターに送られます。
以前、日本で公園に繋がれ、放置されている犬を発見したことがあります。しばらくたっても飼い主さんが現れなかったので、取り急ぎ、その子を最寄りの警察署に連れて行って相談したことがありました。そこでショックだったのは、この迷子犬(正確には放置された犬)は「遺失物」扱いになるとのこと。「え……『物』扱い!?『命』なのに…」と愕然としました。
日本にも動物保護警察がいたらいいのに…。皆さんは、どう思われますか?
動物虐待罪による逮捕!
先日(2023年7月19日)、動物虐待罪で逮捕されたケースが、ローカルニュースではなく、全米向けのニュースで報道されました。
メリーランド州グリーンベルトの動物管理警察官がオーナーの家を訪れた際、1匹の犬は既に死んでいましたが、もう2匹のピットブル、ゼウスとドラコは餌や水がない状態でケージに閉じ込められていました。あきらかに「何かがおかしい」と感じた動物管理警察官はすぐに捜査を始めました。
骨と皮だけの状態で、かなり栄養失調の状態だったというゼウスとドラコ。動物管理警察官は、地域の獣医の記録を調べましたが、二匹が受診した記録は一切なく、定期的な獣医ケアを受けていると証言したオーナーの嘘も直ぐに見破られました。
そして、ゼウスとドラコの2匹を保護し、オーナーを動物虐待罪で逮捕しました。
既に死んでしまった1匹に関しても死因を調査中で、調査結果によっては、このオーナーの動物虐待罪の罪状が更に重くなる可能性もあります。
グリーンベルトのシェルターに保護されたゼウスとドラコ
引用元:NBC4
動物管理・保護警察の使命
ニュースの最後にグリーンベルト警察のハンナ・グラスゴウ氏はこう締めくくっています。
「私たちはゼウスとドラコが安全で愛情にあふれる環境を提供できる家を見つけるため、すべてのリソースを活用しています。彼らは豊かな愛情を常に受けるべきです。」
そう、動物管理・保護警察官たちは、虐待されている動物(主に犬の場合が多いです)を救うこと、虐待した人間を取り締まることという大きなミッションを負っています。
日本には存在しない動物管理・保護警察。犬に関する知識が豊富で専門的見地から状況を評価でき、調査して、逮捕もできる権限がある警察官!日本にもそういう警察官が存在したらいいのに…と心から思います。
終わりに
さて、最初にお話しした公園に放置されていた犬のその後が気になっている方もいらっしゃるでしょう。
経緯とその後をここでシェアしますね。
愛犬との朝の散歩の途中で出会ったミニチュアピンシャー風のワンちゃんで、公園のポールに繋がれたまま、あたりにオーナーの気配がありませんでした。もう、気が気でならなくて…すぐに会社に午前中お休みの連絡を入れました。しばらく待っても一考に飼い主さんが現れなくて、迷った挙句、最寄りの派出所に行って、警察官に相談しました(ん~迷子というか迷犬ということで)。
しかし、遺失物扱いとなると聞いて愕然とし、たまらなくなって、発見した公園のポールにメモ書きを張り付けて家に連れ帰ってきました。それから、私の犬のかかりつけの獣医さんに相談して、とりあえず、今日一日預かってもらうことにしました。
夕方、獣医さんのところに駆けつけたところ、飼い主さんが見つかったとのこと。結果はハッピーエンドで、ここまで読んでくださった方も安心されたことでしょう。
地域の動物保護施設やシェルターと密接にかかわりながら、動物保護(多くの場合が犬のことが多いです)の活動をするアメリカの動物管理・保護警察。その響きも素敵!日本にもそうした専門の警察官が存在すればいいのにと思っているのは私だけではないと思います。
この世から動物虐待の行為が無くなることを強く願います。
執筆者:近松恵子
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