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犬猫を飼いたい人の半数以上は「譲渡」を望んでいる|データで見る日本の迎え方と、伸びる市場・減る犬

日本の部屋の窓辺で寄り添って眠る犬と猫

日本のペット関連市場は、いまも大きくなり続けています。矢野経済研究所の推計では、2025年度は前年度より2.1%多い1兆9,504億円の見込みです。

一方で、飼われている犬の数は10年あまりで2割以上減りました。市場が伸びているのは、ペットが増えたからではなく、1頭にかけるお金が増えたからです。

では、これから犬や猫を迎えたい人は、どこから迎えたいと考えているのか。そして実際には、どこから迎えているのか。ペットフード協会の「全国犬猫飼育実態調査」(2025年)を読むと、その2つの間に、はっきりした開きがあることがわかります。

市場は伸び、犬は減る

ペットフード協会の推計では、2025年に日本で飼われている犬は約682万頭、猫は約885万頭です。

2013年2025年
犬の飼育頭数871.4万頭682.0万頭
犬を飼う世帯の割合12.85%8.50%
1世帯あたりの犬の数1.24頭1.36頭
猫の飼育頭数840.9万頭884.7万頭

出典:ペットフード協会「令和7年 全国犬猫飼育実態調査」主要指標。2021年に推計方法を改めているため、年をまたぐ比較は目安。

犬を飼う世帯は減り続けていますが、飼っている世帯が2頭目、3頭目を迎えることで、頭数の減り方はゆるやかになっています。猫はほぼ横ばいです。

犬と猫の平均寿命は、2025年にそれぞれ14.82歳と16.00歳。飼われている犬のうち7歳以上が53.9%を占め、半数を超えています。数は減っても、1頭と暮らす期間は長くなり、医療や介護にかかる費用も増えていく。市場が伸び続ける理由の一つがここにあります。

業界の側には、頭数の減少への危機感があります。富士経済の調査レポート(2023年)では、卸売業者から、市場が縮む前に業界をあげて飼育頭数を増やす取り組みを求める声が紹介されていました。

ただ、新しく犬や猫を飼いたいと考える人は減っています。いま犬を飼っていない人のうち「今後飼いたい」と答えた人は、2021年の8.9%から2025年は6.7%へ。猫も6.5%から5.0%に下がりました。

「無償で譲り受けたい」は犬で53.6%、猫で76.9%

同じ調査は、いまは飼っていないが今後飼いたいと考えている人に、どんな方法で迎えたいかを聞いています。

希望する迎え方無償で譲り受けたいお金を払って入手したい
犬(692人)53.6%46.4%
猫(737人)76.9%23.1%

出典:ペットフード協会「令和7年 全国犬猫飼育実態調査」生体価格とペット飼育阻害要因詳細。対象は現在その動物を飼っておらず、今後飼う意向がある人。

犬では、無償での譲り受けを望む人が2023年の58.3%から少しずつ減っています。それでも、まだ半数を超えています。猫では4人に3人以上です。

お金を払って入手したい人の予算の上限は、平均で犬が17.6万円、猫が14.2万円でした。

実際に迎えた先は、犬の57.3%がペットショップ

では、実際に迎えた人はどこから迎えたのか。この1年以内に飼い始めた人の回答(複数回答)を見ると、こうなります。

主な入手先(2025年)犬(185人)猫(143人)
ペットショップで購入57.3%33.6%
ブリーダーから直接購入11.4%3.5%
友人・知人・親族から無償で5.9%11.2%
シェルターから(有償・無償の計)5.4%4.2%
譲渡会を通じて無償で1.1%6.3%
里親探しのマッチングサイトから(有償・無償の計)4.9%8.4%
野良犬・野良猫を拾った0.0%18.2%

出典:ペットフード協会「令和7年 全国犬猫飼育実態調査」ペット入手時の情報源・入手先。複数回答のため合計は100%にならない。シェルター・マッチングサイトは有償と無償の選択肢を足した値。

犬では、迎えた人の半数以上がペットショップで買っています。シェルター、譲渡会、マッチングサイトを合わせても1割ほどです。「無償で譲り受けたい」が半数を超えていたことと比べると、希望と実際の間に大きな開きがあります。

猫は事情が違います。ペットショップは3分の1にとどまり、野良猫を拾った人が18.2%、知人からの譲り受けや譲渡会、マッチングサイトも一定の割合を占めます。保護された猫が家庭に入る道が、犬よりずっと太いことがわかります。

もちろん、「無償で譲り受けたい」と答えた人と、実際に迎えた人は同じ人たちではありません。それでも、多くの人が最初は譲渡を考え、最後はペットショップに行き着いている、という流れは読み取れます。

シェルターを「知らなかった」が約半数

なぜ、譲渡を選ぶ人がこれほど少ないのか。調査には、手がかりになる質問があります。シェルター以外から迎えた飼い主に、シェルターからの入手を検討したかを聞いたものです。

シェルター以外から迎えた飼い主犬(1,195人)猫(917人)
検討したが入手しなかった14.7%12.2%
知っているが検討しなかった34.9%39.9%
シェルターを知らなかった50.4%47.9%

出典:同上。対象は現在犬・猫を飼っていて、シェルターから迎えていない人。猫は野良猫・地域猫を除く。

犬の飼い主の半数が、シェルターという選択肢を知らないまま犬を迎えていました。保護犬・保護猫という言葉は広まりましたが、「自分が迎える先の候補」としては、まだ多くの人の目に入っていないことになります。

情報源の面でも差があります。1年以内に犬を迎えた人が参考にした情報源は、ペットショップが59.5%、インターネットが21.1%。シェルターは2.2%でした。

飼えない理由は、お金と住まい

飼いたいのに飼っていない人は、何に止められているのでしょうか(複数回答)。

  • 犬:世話にお金がかかる 27.0%、別れがつらい 26.4%、集合住宅で禁止されている 26.0%、旅行など長い外出がしづらくなる 23.8%
  • 猫:集合住宅で禁止されている 31.3%、世話にお金がかかる 26.1%、別れがつらい 22.4%

「いちばんの理由」を1つだけ選んでもらうと、犬でも22.4%、猫では26.9%が「集合住宅で禁止されている」を挙げ、どちらも最も多い理由でした。「お金がかかる」は2021年から上がっていて、犬では21.1%から27.0%になっています。

この2つは、迎え方の問題とつながっています。ペットショップでの生体の価格に加えて、医療費や長い老後の費用がかかる。だからこそ、迎えるときの費用を抑えられる譲渡を望む人が多いのだと考えられます。そして、住まいの制約は、どこから迎えるかに関係なく、飼うこと自体をあきらめさせています。

殺処分は20年で約60分の1に

行政の収容と殺処分の数は、この20年で大きく減りました。環境省の統計です。

2004年度2024年度
犬猫の引取り数41万8,4133万9,409
返還・譲渡数2万9,3233万2,506
殺処分数39万4,7996,830

出典:環境省「犬・猫の引取り及び負傷動物等の収容並びに処分の状況」。2024年度の殺処分は犬1,964、猫4,866。

2024年度の殺処分は6,830で、2004年度の約60分の1です。引取り数そのものが減り、返還・譲渡は2万9,323から3万2,506に増えました。

一方、2025年に新しく飼われた犬は約45万頭、猫は約33万頭と推計されています。行政から譲渡される数は年に2万5,651。新しく家庭に入る犬猫全体から見れば、ごく一部です。

行政の施設だけでなく、民間の保護団体のもとにも、家庭を待つ犬猫がいます。その数は全国でまとまった統計がありませんが、譲渡の受け皿が「知られていない」ことが、迎え手の不足につながっている可能性はあります。

「頭数を増やす」より「迎え方を変える」

業界が望む「飼育頭数の回復」と、動物福祉の視点は、必ずしも同じ方向を向いていません。

ペットショップで売られる子犬・子猫を増やせば、頭数は増えるかもしれません。けれど、繁殖の現場の負担や、飼いきれなくなった動物の手放しも増えるおそれがあります。動物福祉の考え方で大切なのは、数を増やすことではなく、迎えられた1頭がその一生を良い状態で過ごせるかどうかです。

今回のデータは、別の道があることも示しています。

1. 譲渡を「知られる選択肢」にする:犬の飼い主の半数が、シェルターを知らずに犬を迎えていた。情報が届けば、迎え方は変わりうる。

2. 住まいの制約をほどく:飼えない最大の理由は集合住宅の禁止。ペット可の住宅や、規約の見直しが進めば、飼いたい人が飼える。

3. 長い一生の費用に備える:平均寿命は犬で約15年、猫で16年。お金の不安は、迎える前の情報と、保険などの備えで小さくできる。

海外には、ペットショップでの犬猫の販売自体を禁じている国もあります。日本でそこまで一気に変える必要はありませんが、「どこから迎えるか」を選べる人を増やすことは、すぐにでもできることです。

まとめ

  • ペット関連市場は2025年度に1兆9,504億円の見込み。伸びているのは頭数ではなく1頭あたりの支出
  • 犬の飼育頭数は2013年の約871万頭から2025年は約682万頭に。7歳以上が半数を超える
  • 今後飼いたい人のうち、無償での譲り受けを望むのは犬で53.6%、猫で76.9%
  • 実際に1年以内に犬を迎えた人の57.3%はペットショップで購入。シェルターからは5.4%
  • シェルター以外から迎えた犬の飼い主の50.4%は、シェルターを知らなかった
  • 飼えない最大の理由は集合住宅での禁止。殺処分は20年で約60分の1の6,830に減った

飼いたい人が減っている中で、それでも飼いたい人の多くは、最初に「譲渡」を思い浮かべています。その気持ちが、実際の迎え方につながる道をどう太くするか。頭数の回復を目指す前に、考えたい問いです。

あわせて読みたい:

(2026年11月 執筆。飼育頭数・入手先・意向の数字はペットフード協会「令和7年 全国犬猫飼育実態調査」、引取り・殺処分の数字は環境省の統計、市場規模は矢野経済研究所の2026年9月1日発表にもとづく)

参考記事

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